25日の東京外国為替市場ではアメリカ経済が堅調で、FRB=連邦準備制度理事会が早期に利下げするとの観測が後退したことを背景に、円を売ってドルを買う動きが一段と強まっています。
円相場は、1ドル=155円50銭台まで値下がりし、1990年6月以来、およそ34年ぶりの円安・ドル高水準を更新しました。
市場関係者は「きょうから始まる日銀の金融政策決定会合では、追加の利上げには踏み込まず緩和的な政策を続けるのではないかとの観測が出ていて、市場では日米の金利差が意識されドルに資金が集まりやすい状況となっている。政府・日銀による市場介入への警戒感は根強いが鈴木財務大臣のきょうの発言が踏み込んだ内容ではなかったとする受け止めも出て円安基調が続いている」と話しています。
鈴木財務相「適切な対応をするという思い変わらない」
鈴木財務大臣は、1ドル=155円台まで円安が進んでいることについて25日午前に開かれた参議院の財政金融委員会で「私どもとしては市場をしっかりと今、注目しているところだ。それをもとに適切な対応をするという思いはいささかも変わらない。今の局面で多くを話すことができないことは何とぞ、ご理解を頂きたい」と述べました。
林官房長官「具体的な見解は控える」
林官房長官は、記者会見で「足元の為替相場の動向や為替介入について具体的な見解を申し上げることは、市場に不測の影響を及ぼすおそれがあることから差し控える」と述べました。
その上で「為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要で、過度な変動は望ましくないと認識しており、政府としては、為替市場の動向をしっかりと注視しつつ、万全の対応を行っていきたい」と述べました。
旭化成社長「相当、円安にぶれすぎている」
旭化成の工藤幸四郎社長は25日の記者会見で、「当社にとっては短期的には利益を生む構造になっているが、われわれが前提とする為替レートと比較すると、155円というのは相当、円安にぶれすぎている」と述べました。
その上で、「日本の消費も含めてボディーブローのように経済にダメージを与える部分も出てくると考えている。短い期間であれば円安はプラスに出てくると思うが、中期的に見たときには、このままの円の価値でいいのか、という問題にもなる」と述べ、円安が経済に悪影響を及ぼす可能性に懸念を示しました。